「面積図や線分図の描き方は習ったけれど、いざ新しい問題を見ると、どれを使えばいいか分からず手が止まってしまう…」
([第4回:面積図・線分図・表の違いって?算数の文章題で図表を「ただの飾り」にしない方法] では、それぞれの図表が持つ「得意なこと(役割)」について解説しました。)
【算数・文章題の壁を越える!全6回シリーズ】の第5回となる今回は、実際の文章題を目の前にしたときに「どの図表を使えばいいか」を迷わず選ぶための実践的な判断基準について解説します。
図や表は、何となく描くものではありません。「この問題は何を整理したいのか」という視点を持てば、自然と使うべき道具は決まってきます。
線分図・面積図・表はどう使い分ける?迷わないための判断基準
面積図、線分図、表の役割が分かっても、実際の文章題になると「結局どれを使えばいいのか分からない」と止まることがあります。これは自然なことで、文章題は単元名だけではなく、何を見えるようにしたいかで使う道具が決まるからです。
逆に言えば、ここで迷わないためには、「この問題は何を整理したいのか」という視点を持てばよい、ということです。図や表は、見たい関係を見えるようにする道具です。
最初から完璧に使い分ける必要はありません。家庭でも使いやすい「迷ったらこれ」という判断基準を整理していきましょう。
「量の関係を見る」のか、「変化を追う」のかで決める
図や表の使い分けで最初に見るべきなのは、その問題で必要なのが量の関係なのか、変化の流れなのか、という点です。
大きく分けると、次のようになります。
- 量の関係を見る問題なら、線分図や面積図が向きやすいです。
- 変化を追う問題なら、表が向きやすいです。
たとえば、「AはBの何倍か」「兄と弟の差は何か」のような問題は、量の関係が中心です。こういうときは、線分図が第一選択になりやすくなります。一方で、「途中で休んだ」「その後増えた」「次に値引きした」など、状態が変わっていく問題は、表にした方が整理しやすいです。
ここを意識すると、「何となく線分図を描いたけれど合わない」「表を作ったけれど何を比較すればいいか分からない」という失敗が減ります。まずは、比べたいのか、追いたいのかを決めるだけでも大きな前進です。
| 見たいもの | 向いている道具 | 典型例 |
| 量の関係 | 線分図、面積図 | 割合、比、和差、つるかめ、食塩水 |
| 条件や状態の変化 | 表 | 速さ、仕事算、途中変化、場合分け |
まとめ/次の一手(ToDo 3つ)
- 今日:文章題を1問見て、「量の関係」と「変化の追跡」のどちらを見たい問題か決める(10分)。
- 今週:量の関係を見る問題と、変化を追う問題を1問ずつ選び、使う道具を決めてみる(30分)。
- 今月:問題を見たら最初に「比べる問題か、変わる問題か」を確認する習慣をつける。
問題文に比・割合・増減がある時の考え方
文章題で迷いやすいのが、「割合」「比」「増えた・減った」が出てくる問題です。ここは面積図と線分図が競合しやすいところですが、基本は次のように考えると分かりやすくなります。
- どちらが何倍か、差はいくつかを見たいなら線分図。
- 全体量×割合=一部分のような関係を見たいなら面積図。
たとえば、AはBの何倍か、男子と女子の比、兄と弟の年齢差、というような問題は、線分図で「長さの比較」にすると見えやすいです。一方、食塩水の濃さ、売買損益、割引、歩合など、「全体量と割合のかけ算」を意識したいときは、面積図が向いています。
また、「増えた」「減った」という言葉が出てくると、条件変化に引っ張られて表を使いたくなることがあります。ただし、その増減が単に量の比較なのか、途中で状態が変わるのかで判断が変わります。
- 比べるだけなら線分図や面積図。
- 途中で変わっていくなら表。
ここを整理しておくと、割合系の文章題で「図は描いたけれど使い切れない」という状態が減ります。
まとめ/次の一手(ToDo 3つ)
- 今日:割合か比の問題を1問選び、「比較を見るのか、かけ算関係を見るのか」を決める(10分)。
- 今週:線分図向きの問題と面積図向きの問題を1問ずつ選び、違いを比べる(30分)。
- 今月:「比べるなら線分図、かけ算関係なら面積図」を第一判断として使う。
条件が途中で変わるなら、まず表を疑う
文章題で表が一番力を発揮するのは、途中で条件が変わる問題です。速さ、仕事算、売買損益、食塩水、場合分けなど、見た目の単元は違っても、「その後」「途中で」「次に」といった条件変化があるなら、まず表を疑うと整理しやすくなります。
表が向いているのは、次のような場面です。
- 行きと帰りで速さが違う。
- 途中で休む、戻る、人数が増える。
- 最初と後で割合や条件が変わる。
- 場合によって結果が変わる。
こうした問題を線分図だけで押し切ろうとすると、途中で情報が増えた時に混乱しやすくなります。表にして、時点ごと、条件ごと、場合ごとに並べると、何が変わって何が変わっていないかが見えやすくなります。
文章題が苦手な子は、問題文を一続きで読んでしまいがちです。しかし、条件が変わる問題では、むしろ問題文を区切って考える方が正しいです。表はそのための道具です。
まとめ/次の一手(ToDo 3つ)
- 今日:文章題を1問選び、「その後」「途中で」など条件が変わる箇所に線を引く(10分)。
- 今週:条件変化のある問題を2問選び、表で整理してから式を立てる(30分)。
- 今月:途中で条件が変わる問題では、最初に表を使う習慣をつける。
図を描く前に「この問題は何を見える化したいか」を決める
図や表の使い分けで最後に大切なのは、描く前に**「何を見える化したいのか」**を決めることです。これがないまま描き始めると、図は描けても、式や考え方につながりません。
たとえば、文章題で見えるようにしたいものは、だいたい次のどれかです。
- 量の差や比。
- 全体と一部分の関係。
- 途中で変わる条件。
- 場合ごとの違い。
これが決まると、道具も自然に決まりやすくなります。逆に、「とりあえず図を描く」だと、見たいものと道具がずれて、かえって混乱します。
保護者が声をかける時も、「何で描く?」より「何を見えるようにしたいの?」と聞く方が、子どもが道具を選びやすくなります。問題の中のどこをはっきりさせたいのかを考える習慣が入ると、使い分けはかなり安定します。
まとめ/次の一手(ToDo 3つ)
- 今日:文章題を1問選び、「この問題で見えるようにしたいものは何か」を一言で書く(10分)。
- 今週:図や表を描く前に、毎回「何を見える化したいか」を確認する練習をする(30分)。
- 今月:家庭の声かけを「何で描く?」ではなく「何を見えるようにする?」に変える。
迷ったときによくあるご質問(FAQ)
Q. 線分図と面積図の違いがやっぱりよく分かりません…
結論としては、「比べるなら線分図、かけ算関係を見るなら面積図」と覚えてください。
線分図は「AはBの何倍か」「差はいくつか」など、量の大小関係や比の関係を見たい時に使います。一方、面積図は「全体量×割合=一部分」のような関係を整理したい時(食塩水や売買損益など)に向いています。最初から厳密に区別しすぎず、この2つの判断基準からスタートしてみてください。
Q. 表が必要な問題かどうか、どう見抜けばよいですか?
結論としては、問題文の中に「その後」「途中で」「次に」「残りは」など、状態の変化を表す言葉がある時は、まず表を疑うのが基本です。
速さが変わる、休憩が入る、人数が増える、売り方が変わるなど、1通りでは押し切れない時に、条件ごとに並べることで漏れや重複が見えやすくなります。
【次回予告】
いよいよ最終回となる第6回では、「親が教え込みすぎない!中学受験の算数・文章題を家庭で立て直す『型』の作り方」について解説します。
「どの図を使えばいいか」の判断力をプロと鍛えませんか?
「親が教えようとすると、つい『これは面積図でしょ!』と答えを言ってしまう…」とお悩みの場合は、オンライン完全個別指導塾Soleadoの中学受験専門サービス「Soleado-primo」にご相談ください。お子様自身が「何を見える化したいか」に気づき、最適な道具を自分で選べるようになるまで、プロが根気強く伴走します。

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