中学受験で算数が伸び悩んでいるとき、つい「うちの子は算数のセンスがないのでは」「算数の才能がないから仕方ない」と考えてしまいがちです。
しかし、これまで多くの受験生を見てきた経験から言えば、実際には才能不足よりも、原因の見立て違いで伸び悩んでいるご家庭がほとんどです。算数は、「苦手」という一言で片づけてしまうには、あまりに要素が多い科目だからです。
今回は、算数の成績を立て直すためにまず知っておきたい「原因の分解」についてお伝えします。
「苦手だから量を増やす」が失敗を招く理由
算数が伸びないと、多くの家庭が最初に「とにかく問題演習の量を増やす」という対策を取ります。しかし、原因を特定しないまま量だけを増やすと、次のような負のループに陥りやすくなります。
- 宿題は終わるが、直しや再現チェックまで手が回らない。
- 解説を読んで「分かったつもり」になり、次のテストでまた同じミスをする。
- 学習時間だけが増え、子どもの負担感と親子バトルばかりが深刻化する。
算数は、どこでつまずいているかによって、必要な「量」も「手順」もまったく異なります。計算ミスが多い子と、図形での条件整理ができない子では、同じ時間をかけるにしても、やるべきことは180°違うのです。
最初にやるべきことは「もっとやらせる」ことではなく、「どこで止まっているか」を見つけること。量を増やすのは、その後でも遅くありません。
算数が伸びない原因を「5つ」に分解する
「何となく伸びない」という漠然とした悩みを具体化するために、まずは原因を次の5つに分けて考えてみましょう。
- ① 学習量・配分:演習量が足りない、または「解き直し」の比重が低すぎる。
- ② 優先順位:全部やろうとして、今やるべき重要な単元に集中できていない。
- ③ 復習の質:解説を読んで終わり。自力で「再現」するステップが抜けている。
- ④ 理解の穴:公式以前に、問題文の条件整理や図表への落とし込みで止まっている。
- ⑤ 環境・仕組み:時間の使い方が固定されておらず、本人の気分に左右されている。
ポイント:大事なのは、これらすべてを一気に直そうとしないことです。多くの場合、最初に手をつけるべきボトルネックは1つか2つに絞られます。
「単元名」より「止まっている工程」を見よう
算数が苦手な子を分析するとき、「割合が苦手」「速さが苦手」と単元名だけで判断すると、対策が広がりすぎてしまいます。そうではなく、「問題を解くどの工程で止まっているか」に注目してください。
| 見かけの悩み | 本当のつまずき | 優先して直すこと |
|---|---|---|
| 文章題が苦手 | 条件整理で止まる | 問題文を箇条書きにする習慣 |
| 図形が苦手 | 図への書き込みが弱い | 言葉→図→式の順で整理する |
| 全体的にミスが多い | 直しが浅い | 翌日の「解き直し」をルーティン化 |
この「工程」に注目する視点を持つだけで、短い時間でも効果の出る改善策が立てられるようになります。
今日からできる「次の一手」
まずは現状を把握するために、以下の3つのステップを試してみてください。
- 今日:最近の算数の失点を3問だけ見返し、「どこで止まったか(読み間違い?整理ミス?)」を一言でメモする。
- 今週:宿題の量ではなく、「解説を読んで赤ペンで写して終わった問題」が何問あるかを数えてみる。
- 今月:量を増やす前に、上記の「5つの原因」のうち、わが家に一番当てはまるものを1つだけ選んで対策する。
次回からは、これら5つの原因について、より具体的な立て直し方について深掘りしていきます。第2回は、「学習量と優先順位の整え方」についてです。

【中学受験】算数の成績を伸ばす!
① 中学受験の算数が伸びないのは「才能」のせい?原因を正しく見立てて立て直す5つの視点
② 【中学受験】算数の成績を伸ばす!②|宿題はやっているのに算数が伸びない?「点になる量」への転換と優先順位の決め方

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